
大分空港に到着。
夜道、
わたし「わっ、ウリ坊?」
くま「狸、ですね多分…」
子狸達に道を譲りつつ、
車を走らせる。

筋湯温泉 大黒屋。
くま「ここは昔、喜安屋さんだったの」
代替わりの際、温泉街の端へ移転したらしい。
くま「とっても評判の良いお宿で」
他のお宿も追いかける様に移転してしまい、
今では、温泉街の中心がそちらへ移りつつある、らしい。

でも、とくまが言う。
「ここは、大黒屋さんになってからも、評判が良いんです」

お部屋は十畳。
基本素泊まりなので、
お布団などは自分達で敷く。


食事は、一階の居酒屋『やまぼうし』で頂く。
落ち着いた黒を基調とした、
古民家風のつくり。

夢ポークのしゃぶしゃぶ。
口当たりが柔らかく、
するすると食べられる。

つけあわせのお野菜も、
たっぷり。

大分の郷土料理、
とり天。
フリッターの様に軽い衣で、
さくさくした食感。
ポン酢で、さっぱりと頂く。

生ハムのサラダ。

しめのうどんは、
何やら華やかな様子。
くま「これ、あれみたいですね」
わたし「…長崎ちゃんぽん」
くま「そうそう」

オーナーは、物静かなお人柄。
宿を始めた当初は、
色々と大変だったご様子。
悩んだ末、思い切って素泊まりに切り替え、
食事はあまり凝ったものにせず、
地元の食材を、出来る範囲で出すようにした事。
「不思議と、うまくいくようになりましてね」
淡々と、
穏やかに語る。
物事を成すか否かは、
たぶん、こういう秘めた意志の強さ。